0605「さよなららくがきたち」

 今日は休みだったのでこまごまと掃除などしていた。大分暑苦しくなったのでカーペットをしまったり夏布団を出したり。
 机の下にキャスター付きの引き出しワゴンを備えているのだけれど、この中の整理に着手したのが大きな一歩だった。ごちゃごちゃとしていて整理したいとずっと考えていたのだけれど、ようやく。
 ここに何が入っているかというと、まあ様々に適当にとりあえずしまっておこうと放り込まれたものが入っていて、文房具からポケットティッシュに常備薬にネックレスにゲームカセット等々かなりカオスなことになっておりこんなことを言うといかに私が整理整頓が苦手かが露骨にばれてしまうのだけれど、とにかく私は片付けが苦手だ。掃除をしてもすぐに散らかしてしまう。床にものをちりばめてはそのまま放置するし机の上にはどんどん物が積まれていき雪崩が起こり目も当てられない光景になる。
 しかし幸運(?)なことに実は「捨てる」ことは得意、というか好きで、いざ捨てるとなると自分でも引くほどなんでもかんでもとにかく捨てる。冷めた性格だからなのか物に対する執着も薄い。話題のミニマニストほどドシンプルな状態にはできないのだけれど、物はできるだけ持たない方が美しいとは思う。
 前置きが長くなったのだけれど、そうして割となんでも捨てる私が今回迷いながらも捨てることを決意したのが、クロッキー帳だった。
 ワゴンの大きい引き出しは絵関連を入れている。絵具やパレットはもちろんのこと、スケブ、そしてクロッキー帳。
 殆どが自作のらくがきで埋まっているのだけれど、絵を描くことは好きで、らくがきであっても自分の描いた絵には愛着はそれなりにあって、ずっと描きためたまま引き出しの中に入れていた。時々見返していたりもした。それを捨てることにした。一番の理由は引き出しがもう何も入れられないくらいいっぱいになってしまっていたことが大きい。むしろ昔の絵を捨てるつもりでワゴンに着手したのだった。四冊くらいあったのだろうか、全部思い切って捨てたのだった。バレンタインなどのイベントものとか、簡単な漫画とか、誕生日絵とか、自作に限らず他ジャンルの絵も入っていたけれど、別れることにした。本当は昔のスケブも捨てるつもりだったのだけれど、色まできちんと塗ったそれを捨てるのはなんだか心苦しくて、それはできなかった。所詮はその程度の断捨離。けれどクロッキー帳を捨てただけでも私にとってはとても大きい出来事だった。他にもコピー用紙に描いたらくがきなどもばっさばっさと捨てた。寂しくない、わけではまったくないのだけれど、それほどめちゃくちゃ傷ついてもいないのは、不思議。今日は捨てられなかったスケブだけれど、いつかきっとこれも捨てられるようになる。どんどん、希薄になっていって。
 支部とかで、公開した作品を削除する人がいる。ずっと、なんでそんなことをするんだろう、と思っていた。少し違うけれど、なんとなく今はその気持ちもわかるような気がする。
 いらない、と判断したものを捨てて余裕ができた場所に、今度はどんなものが入っていくのだろうね。今やっている積み本消化もそう。新しいものに手を出す前に、古いものに片を付けることも、時には必要なのだ。