0726「真夜中のミルクアイス」
と銘打たれたイラスト展示会が大阪・中津のアトリエ「空白」で開催されていたので行ってきました。
日向海子さん・くぎさんという方々の二人展で主に透明水彩を使って活動されている方々なのですが、去年あたり、同ギャラリーで知った作者様方でした。普段もツイッターで作品を癒されているのですが、このたびがっつり原画を拝見できるということでお邪魔させていただきました。
平日の昼間は流石に人も少なく、じっくりと楽しむことができました。
DMなのですが、この一枚がすべてを物語っていますね。
真夜中のミルクアイス。
現実は喧噪や煩いにまみれていて自分を見失いそうになってしまうけれど、夢の中のような優しさや切なさを形にして、それが少しでも誰かの中に残ってほしい、きっと彼女たちが忘れかけてしまうものを覚えているよ、という願いの込められた展示。本当はもっと美しい言葉で展示コンセプトの詩が綴られていたのですが……。
真夜中という静けさの中に佇むような、ミルクアイスが溶けて、混ざり、浸透していくような心地良さ。優しい絵の数々に、目を凝らしながら、一つ一つ楽しませて頂きました。
一応写真は可ということだったのですが、あまり波風(?)を立たせたくない性分なので特に撮らず。ハッシュタグ真夜中のミルクアイスでツイッターで検索かけたらいくつも展示の様子の写真が出てくるので良かったら見てください。アトリエ「空白」さんには何度かこっそり伺っているのですが、来るたびに内装が変わり、その展示コンセプトに合うよう造り替えられるこだわりの展開をしております。今回も、一階は明るくシンプルに、広々とした空間を囲むように多くのお二人の絵が壁に並べられていましたが、二階は少し薄暗くなって、中央にはドライフラワーの乗ったブランコ。奥には一つ部屋が作られ(部屋が増設されてる展示を初めて見た衝撃よ)、小さな部屋でごく小さな絵がはじっことはじっこ、互いが向き合うように展示されていました。二階は真夜中の静けさをイメージされたということで、やや暗いと絵が少しだけ見えづらくなってしまうのですが、作家さんのご意向という話(をしているのを横で聴いていた)なのでした。少し暗い分特に目を近づけてしまいました。ブランコは真夜中の公園をイメージしているということで、どこか懐かしいような、自分の中におだやかに溶けていくような空間でした。その話を(横耳で)聴いてから改めて見るとまた違った捉え方をできて楽しかったです。
はかなさ。儚さ。
「儚」という漢字には「夢」が組み込まれており、お二人の「夢」の欠片のような人々を描いた作品には、甘い優しさと共にさみしさや切なさ、そして儚さが漂っていました。さみしさ、切なさ、儚さ、でも決してマイナスイメージではなく、私たちの誰しもが生きている限り必ず伴うこれらの感情に、隣で寄り添うような類であり、だからこそ心にしみこんでいき、優しさに繋がるのだなと思いました。
絵や文や映像等形に寄らず、作品というのは、特に作品に漂う空気というのは、得てしてご本人の生き様や心持ちが反映されるものだと考えておりますが、ご本人様方にはお会いしなかったものの(お見かけしたとしてもコミュ障をこじらせているので話しかけるなどはできませんが)それを垣間見ることのできたような、そんな展示でした。どっぷり理解できたとは烏滸がましすぎて言えない。
昨日、ちょうど仕事がとても大変なことになって、すごくへこんで、帰って夕食を食べたかどうかもあやふやなまま気絶するように寝たような一日だったので、余計に胸打たれるものがあったのかもしれません。
大阪は少し足を伸ばさなければなりませんが、行って良かったなあと心から思える展示会でした。会期はまだもう少し先(次の日曜)まであるので、興味がございましたらぜひ行ってみてください。私もできるならもう一度行ってみたいですが次行くとしたら最終日になって、そうなるとどう考えてもけっこうな人が来られると思うのでもう遠慮しておこうかなと……(脆弱)。いや、ゆっくり時間をかけて見られる平日、万歳。充分堪能したので満足です。
何枚かポストカード等も買いました。展示で特に印象的だった絵や、かつて展示でお見かけして好きになった作品などを。正直なことを言うとこの絵のポストカードやグッズがあったらいいのになあ……というのもあったのですが、売り切れたのか元々作られていないのか、前者ならばポストカード等の形としてのご縁は無かったということでしょう、原画を堪能したので大満足です。やはりアナログにおいて原画に勝るものはありません。色も、絵の具の厚みも、紙の質感も。良い物だ。本当に。ならばいっそ原画そのものをお迎えしようか迷いましたが手元にそこまでお金が無かったのと私のずぼら生活に組み込んでいい空気ではない気がして、気合いも足りず……。……もうちょっと悩みます。
はあ、可愛いですね。
手元に残ったもの、そして胸に残ったものを大切に、また明日からも頑張っていこうと思ったこの今現在の感情を文字に残しておこうと思った次第です。今後のお二方のご活躍をこれからも応援しながら、今日はここまで。日々に忙殺されて忘れていたものを思い出し、幸せに浸った休日でした。また水彩、やりたいなあ。