douga no koto

 

 そういうわけで。
 2/22になんとか無事にアニメ風PV動画のおよそOPサイズ版をあげることができました。
 これについてなかなか込み入った話ができなかったなーと思うんですが、時間が流れていくほどに現実とかその他の娯楽とかに現実とかに揉まれて熱が少しずつ冷めていって、細かくここはこう!ここはこういう思いで!とかきちんと語る気力が失われていく感じがありまして。
 まあそういう制作的な裏話というのは流れていってあっという間に消費されていくツイッターでやっていけばいいと今は思っています。だからここには、この動画を作って、だいぶ完成に近付いた時に感じたことを簡単に自分メモも兼ねて残しておきます。

 まっしろな闇は、POKENOVELでも自サイトでも、白背景に黒文字のみの、ごくシンプルなページにしています。それはタイトル等から彷彿されるイメージを重要視しているからです。
 “It’s white. However, it’s dark.”
 プロローグに載せている文章。自サイトの長編ページの表にも、この文章を掲げています。
 だからか、この物語にはどこか白とも黒とも、無色ともいえる、とにかくごく限られた色の世界のイメージがあって、それはこれが小説であって、文字で作られている世界であるということも起因していました。
 これから言うのはごくごく、当たり前のことなのですが。
 今回動画を作るにあたり、キャラクターに色をつけ、背景をつけ、加工したり、動かしたり、ある程度本編で実際に起きたこととは異なっていても、物語そのもののイメージにはできるだけ忠実に作っていました。理想が無駄に高いために追い込まれてもいました。
 背景も一通り描き、動きも増やし、2/22の直前のあたりで、もういつでも出せる、本当に完成が近い、と確信を得た頃に。ふと。
 動画を見返して、繰り広げられる色鮮やかな世界。自分で作ったものだというのに、それは自分の脳内に描いていたものを形にしたはずだというのに、何故だか衝撃を受けて。
 緑の森の中に溶け込むクロ。揺れる炎。笑うラナ、セルド。飛び散る血。夏の空、入道雲。少年少女と彼等のポケモン達。クロの脳裏に過ぎる記憶。夕陽の眩いトレアス。眼を合わせ、額を重ねて心を通わせるクロとラナ。同じ髪色を持つ母と娘、どちらの隣にも寄り添うブラッキー。見上げて、暗闇。黒の団を前に、膨らませる炎のイメージ。正面を見据える深緑。火閃。展開される戦闘描写、火炎放射、銀色の風、火閃の炎。背中を合わせるクロと圭、緑とオレンジ、火閃と五月雨。ネオンライトの輝く首都の上空、夜中に嗤う真弥。念力を発動させ、今の主を守るように前に立つエーフィとブラッキー。その背後、栗色の髪を揺らし、顔を歪ませるラナ。微動だにしない背中と、揺れる炎、刃からこぼれ落ちる誰かの血、赤。
 展開される世界、アーレイスという国を舞台にした旅の物語。そのたったひとかけらに過ぎない、様々な要素がまだ足りていない、あくまでおまけの動画だけれど。
 この物語は、白や黒に限らず、無色ではなく、むしろ極彩色の世界が広がっているのだと。それはつまりちゃんと人やポケモンや自然や町がこの物語のうえで息づいているのだと、それがものすごく、いいな、と思えまして。あーちゃんと旅物語じゃないか。皆、生きてる!!!!!と。
 何を今更、でしょ。
 だって、脳内で描いている物語の映像というのはいつも色とりどりのはずなのに。それほどに、色をつけて形にするのはなかなかのパワーがありました。
 生きてる!!!!!
 それを実感しただけでも、この動画には私には実に大きな価値があります。
 作って良かった。
 本当に。

 とはいえ、このたった1分40秒ではこの物語を語りきれるはずがなく。一応フルバージョンも作りたいと考えていますが、ちょっと休んで、やっぱり作ろうという力がまた湧いてきたら、手をつけます。

 最後になりましたが、この動画作成にあたりずっと支えてくれた人がおりました。ラフ動画の時から、何度も何度も進捗を報告しては、褒めてくれて、モチベーションを保たせてくれました。当初、ウォルタ編の途中までしか読んでいないというのにずっと押しつけ続け、しかし最後、完成形を渡した頃、最新話まで読んでくれたという猛者。本当はスペシャルサンクスに個人名として出したかったけど、事情があってやめました。でもきみがいなかったら間違いなくここまで作り上げることはできなかった。とり、ありがとう。
 そして、読者さん。ここを読んでいるかわからないけど。もうツイッターでも言ったけど。
 読まれているからこそ続いてきた物語です。だからあなたが居なければ辿り着けなかった地点です。でもまだ続いていきます。良かったらお付き合いください。

 要約すると、動画を通じて、改めてこの物語の良さが見えたよ~!っていう話です。
 ありがとう動画!

 終わり。