0917「宮島・広島市録/生きた墓標」

 9/16~17にかけて広島に旅行してきたのでその記録。
 今回の主旨は仲が良かった大学の同期で集合すること。私ともう一人の関西の友人で、卒後広島に帰って就職した子に会いに行ってきた。半年を短いととるか長いととるかは人によるだろうけれど、まあそれぞれ波瀾万丈に濃密な日々を過ごしていて、いろいろと話しているとよく頑張っていていっぱい悩んでもいて、お互い仕事踏ん張ろうなという。話の内容は仕事のネタが多かったけれど、中身は大きく変わることもなく、大学時代に戻ったような気分でした。

 一日目。宮島。
 宮島は随分と小さい頃に行ったのだけれど薄らぼんやりとしか記憶していなくて、殆ど初見の感覚で厳島神社へ参拝に。

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 まずは焼き牡蠣。いろいろあったけれど適当に選んだ店で。写真でも伝わるこのぷりぷり感。冬季でもないのに。身が詰まっていて本場の本気を見る。噛んでじゅわっと広がる汁があつあつ。塩で軽い味付けがしてあってそのままでも美味しかったけれど、ポン酢やレモンをかけても味が引き締まって簡潔に申し上げてやばい。食べきってから殻に残った汁を飲み干せば牡蠣のエキス。最高。牡蠣好きで良かった。

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 続いてその隣の店で広島県産のレモンと広島で作られたらしいジンのカクテルをいただく。レモン生ビールやテキーラとも迷ったのだけれど。昼から飲む酒は最っ高だよな。とはいえ殆どジュースみたいな感じだったのでそれほど酔いが回ることはなく、気分を味わった感じ。ちな他の二人はお酒に弱いのでフレッシュレモンジュース。最近やたらと推されている瀬戸内レモン。広島は全体的に商法がうまいなと思う。私の某地元も見習って欲しい。
 飲み物で一気に腹が膨れたのと口の中が甘くなったので揚げ紅葉や穴子飯は一度諦め、厳島神社へ。

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 時間帯としてはお昼頃になったのだけれど、ネットで検索したところ大体水位253cmほどで、満潮ではないけれど250cmを超えると大鳥居が瀬戸内海に浮かんでいるように見えるそうで、ぎりぎりではあるけれど、確かに丁度良い景色。鬱蒼とした曇り空がかえって雰囲気を出していてたいへん好みだった。本殿はかなり水が引いていたのでそちらは完全に陸地だったけれど、大鳥居に満足。鮮やかな朱色が印象的。人は多かったので撮影スポットでは並んだりもしましたが、激混みというほどではなく、許容・予想範囲内。干潮や満潮の時間帯だったらまた違ったのかもしれないね。
 厳島神社から流れるように弥山へ。

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 鹿もいたよ。

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 ロープウェーを乗り継ぎして、片道30分ほどの軽い登山(普通の格好で行ってもまったく問題ない程度)。普段の運動不足が祟って軽い息切れ・足ぷるぷるのダブルコンボを喰らいながら、山頂へ。曇り空だったので四国まで見えるような爽快な景色とはいかずとも、かなり遠くまで見えたし、牡蠣の養殖場もわかったし、山頂で受ける風はやはり爽快で、あの達成感というのが山の醍醐味だ。瀬戸内海は波が殆ど無く穏やかで、海というか湖のようで水平線が無いのだけれど海であって、島が点在している風景が良い。
 ハワイのダイアモンドヘッド登山や、大昔沖縄の伊江島というところの城山(ぐすくやま)に登った時も思ったことだけれど、島の山というのは本当に面白い。山頂に来て、眼下に広がる、登ってきた森のすぐ向こうに、海がある。山と海と空が視界で共存している。その景色が好きだ。
 下山。何気にまともな昼ご飯を食べていない割に16時。運動して身体がハイになっており登山中はそれほど空腹感を感じなかったのだけれど(実際なかなかカクテルのおなかたぷたぷ感が消えなかった)、降りると流石に多少の空腹感。ただ、夕食に地元民推しのお好み焼き屋が待っているのでそれほど腹に入れるわけにもいかず、穴子飯は諦めてどうしても食べたい揚げ紅葉を選択。ただの揚げ紅葉でも良かったのだけれど、おすすめだという揚げ紅葉ソフトをいただく。

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 人生初の揚げ紅葉だったのだけれどこ~れが想像を遙かに上回って美味しいのなんのって。揚げのぱりぱり、中はしっとり。食感ってめちゃくちゃ大事だ。ソフトに付いている揚げなのでほっかほかというわけではないけれど、揚げ紅葉の温かさとソフトクリームの冷たさがマッチして飽きがこない。ちなみに私が食べたのはバニラソフト+はちみつ+レモン揚げ紅葉の新商品で、まあ間違いの無い組み合わせで、もみじまんじゅうのレモン味というのも初めて食べたのだけれどさっぱりとしていて食べやすい。焼き牡蠣も美味しかったけれど揚げ紅葉はほんっと想像を遙かに上回って美味しかったのと他で食べられないレア感もあって大満足、人にお勧めできる……もみじまんじゅうを揚げる、発想に乾杯。天才の発想だよ。あれを食べにまた行きたくなった、宮島。

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 帰りの高速船からの景色。ちょうど夕暮れ時にさしかかろうとしていて、この日は雲が分厚かったのだけれど、その隙間からこぼれる日差しが幻想的で、雲一つなく晴れている時の空もいいけれど、厚い雲の空というのも、雄大でたいへん良いものだと改めて。雲の演出って素晴らしいよなあ。こうも広がった自然の景色を見ることも普段なかなか無いので、癒しだった。静かな瀬戸内海を、ゆっくりと堪能して広島市内へ戻る。

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 夜はお好み焼き。生ビールを添えて。地元民の推しというだけあってボリュームもあってめっちゃくちゃ美味しかった……五ェ門というところで、紫蘇・葱のアクセントや広島風お好み焼きならではのそばやイカ天がやっぱりうめー!紫蘇がねーとても良かったんだよ-!!冬季限定の牡蠣料理で牡蠣味噌バター炒めというやつが地元民のとりわけ推しらしく、本当はそれを食べてもらいたくてこの店をチョイスしたそうなのだけれどやはり冬季限定なので無かった。それを食べるには冬にもう一度広島に行く他無い。
 広島の友人は次の日用事があるためこの日限りということもあり美味しいごはんと共にゆっくりがっつり心ゆくまで話をして、破裂しそうな腹と弩弓カロリーを引っさげて一日目は終わり。夜はビジネスホテルの大浴場で登山疲れの足を軽くマッサージし、樹木希林訃報に衝撃を受け、最終的にあまりに眠すぎてあっさり寝落ち。

 二日目。広島市内。
 この日は二人で行動。正直関西組は完全にノープランでこの旅行に臨んでおり、一日目の宮島も「宮島に行きたい」と行っただけで案内等々は完全に地元民に任せていて、二日目のことは一日目にぼんやり考え当日決めたという。しまなみ街道とか鞆の浦とか呉とかいろいろ案は出たものの、次の日が仕事ということもあってほどほどのところで切り上げて帰ろうという話でまとまり近場で過ごすことに。コンセプトはゆっくりしよう。他はまたそのつもりで広島に行った時に赴こうと思う。しまなみ街道でサイクリングしたーい!
 私の希望で広島県立美術館で催されているジブリ大博覧会に向かう。川沿いを散歩しながら、折り鶴で有名な佐々木禎子さんの母校の織町小学校の前を通り(建てられた銅像(石碑だったかもしれない)を外国人が撮影していて禎子さんゆかりの学校だと気付く。彼等がいなかったら素通りしていた)、縮景園の前を通り過ぎて美術館に向かうと、既にすごい行列!!九時二十分ほどで、すっと入れるかと思ったらチケット購入60分待ち、入場100分待ち、合計160分待ち!!!私はジブリファンなのだけれど連れの友人はそれほどジブリを見ていないので流石にそれほどの時間を割かせるのは申し訳なさ過ぎたので断念。連休+ジブリ人気を完全に嘗めていた。
 とはいえわざわざここまで歩いてきたのでこのまま次に行くのもどうなんだ、ということなので折角なので素通りした縮景園へ。入園料230円とかでめちゃ安い(参拝料関連は京都で感覚が狂っている)。

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 名勝地であることは知っていたけれど、正直なところ時間潰しというかそれほど期待していなかったのだけれど、思っていた以上に面白かった。何が面白いかというと、大きな池をぐるりと回る順路だったのだけれど、場所によっていろんな景色や足場の違いがあるんですね。普通の小さな石橋もあれば朱塗りの橋もあり、池の淵を沿う細い道もあれば石段を登って上から全体を見渡せる場所もあり、高いところに上がると縮景園の傍、柵の向こうを流れている河もよく見える。小さな滝(流れているのは井戸水とのこと)があったり、池を跨ぐ橋のようなオブジェを見たり、かつて座って休んで池に映る月でも眺めていたのだろうか、休憩所のような小さな建物が点々と池沿いに作られていたり。そこに座って仕事の話とかゲームの話とかしてゆるりのんびりと時間を過ごしながら、ゆるいアーチを描いて大ジャンプをする魚に驚嘆したり、大きな鯉やアメンボたちをぼんやりと眺めたり。岩が寄せられた淵もあれば、河原のように細かな石が敷き詰められた淵もあり、本当、歩いていていろんな景色が凝縮された、縮景園という名前に違わぬ場所でした。多分ハードルが低かった分、余計に印象的に残ったのだろうな。原爆で江戸時代当時そのままの本物は壊滅し、その三・四年後ほどから復元に乗り出したそうで、建物などは正直かなり新しさを感じましたが、綺麗だったし、当時もまさにこんな感じだったのだろうかと思うと、それはそれで良いものだった。あと全然関係ないけどここでラプラス見つけてテンション上がった(ポケGO)。
 もっと通った道とかの写真を撮っていればどう面白い庭かを具体的に残せるのだけれど。思いっきり景色に周囲の高層ビルが入ってしまっているのも含めて面白かった。都会の真ん中の異空間。春は梅や桜、秋は紅葉が美しいそうなので、そのタイミングで行くのも良いかと。行ったことが無い方は良かったらどうぞ。広島駅から1kmほどの好アクセスなのですぐに行けるよ。
 縮景園から県立美術館の方へ行き、すぐにある大通りを左へ曲がり、八丁堀を曲がってずっとまっすぐ歩き河の方へ。
 どちらが行こうと言い出したか明確に覚えていないけれど、二日目どうするかを相談していたときに、行くのもいいけどね、と友人がちらと言ったのにそのまま乗るように、原爆ドームへ。

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 私自身は原爆関連に関心があるのだけれど、いつか行くなら一人で行こうと考えていたくらいで、正直、友人との楽しい旅行で原爆関連に触れるとは思っていなくて、なんとなく口にも出しづらいところもあり、今でもどうして行くことになったのか、よくわからないけれど。
 重い話にもなるので、その後に行った平和記念公園等も含めて詳細は後に書きます。ただ、行って良かったし、友人にとても感謝している。

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 ドームを過ぎたところの橋の近くにイタリアンのお店があり、広島のローカル番組で宣伝されていて美味しそうだったと地元民に紹介されたのでそこでお昼。宮島で食べた焼き牡蠣も美味しかったけどもっと牡蠣食べたいねということで焼牡蠣のエスカルゴ風、牡蠣の醤油バターパスタに、普通にクアトロフォルマッジをわけわけして割とお腹も心も満たされる。河沿い、オープンテラスもあるような開放感のある店だったので、大きな窓から見える河の景色も良く、イタリアンにアレンジされた牡蠣料理もピザも美味しくいただきました。
 店を出たら平和記念公園に向かい、その後爆心地に寄った後、本通りに向かって適当にお店に入ったりカープグッズを見たり、お腹はいっぱいだったけれど足が疲れたので通りがかった喫茶店に入って駄弁る。

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 カフェクラシックという喫茶店で、シックな内装がとてもお洒落で、本格的な珈琲を煎れてくださる美味しい店でした。私は深煎りのブラック珈琲とアフォガートを、友人は中煎りの珈琲にミルクをつけて、それぞれいただく。アフォガートはほとんど私が食べたけれど友人にもちょっと分けて。これがまた美味しくて。濃厚なミルクアイスに、濃厚なエスプレッソをかける。溶ける甘いミルクアイスと苦いエスプレッソが口の中で混ざり、溶けて、幸せの極み。普通に珈琲がめちゃくちゃ美味い喫茶店でした。元々は違うカフェに行こうとしていたのだけど、あそこに寄って良かったなー。
 そこで時間を潰し、ほどほどの時間で店を出て、そのまま広島駅へ、今度は路面電車を使って。最後に駅でお土産を買って広島を出る。新幹線は寝た。

 そんな感じの一泊二日広島旅行の備忘録。楽しかったなー、という記録と共に、小学校の修学旅行以来に訪れた原爆関連施設について、感じたことは、追記へ。

 

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0909「大阪文フリにて良い出会いをした話」

 ひっそりこっそりと行ってきました、大阪文フリ。
 こういう同人誌即売会には随分と行っていなかったのだけれど、相変わらずの空気感を感じながら、のんびりと回っていた。それほどイベントに足繁く通うほどまめな人間ではまったく無いのだけれど、あの、熱烈に自分のスペースを推してくる感じとか、ライトからヘビー、自由なスタイルでなんでもありなごたまぜ闇鍋の密度高い空気はやっぱり独特なんじゃないかと思う。褒めている。
 ちょっとへばっているので大阪まで行くかどうか迷ったのだけれど、大阪は大阪だけれど前回までと違って滅茶苦茶アクセスの良い場所に変わったし、何より滅茶苦茶好きで毎年大阪文フリに出ておられるとある作家さんが今年は新刊を出されるということだったのでこれを逃すわけにはいかないよなと午前中のうちに足を伸ばした。偉い。売り切れたらと思うと恐いからね……。

 コミュ障なので基本的にひっそりこっそり黙って作品を買っていきますが、今日は印象的な出来事があったので書き残しておこうと思う。
 この本についてなのだけれど。

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 子供の詩が集められた本。同人誌ではなく商業誌でアマゾンでも売っています(と御本人に別れ際に教えていただき先程確認したら本当にアマゾンでも売っていた)。
 筆者の田中さんは長く教員生活をしておられて、自分が担任をしていた時に行った授業で子供たちが書いた詩(感想文っぽいなあというのも入っています)を収めたそうです。対象は大体小学3年生くらい。子供たちの詩と、それに対する優しく肯定的な分析が挟まれていたり、こんな授業(たとえば隣の席の子の目をじっと見つめて、見えたものを詩にする、など)をして生まれた詩、など指導法も入っていたり、教育本としての一面も持った本なのですが、なによりやはり子供たちの詩がとても良い。
 これは田中さんも言っておられたことなのだけれど、子供は生きてきた年数がまだ少なく、知識も少なく、純粋で、だからこそ綴る言葉には心が直接反映される。心がそのまま言葉になる。素直な感性は、凝り固まった大人の脳ではとても出せないものがある。

 いくつか好きな誌はあるんですが、たとえば、

>えんぴつ
 くろい ほねが 一本。
 さきから、どんどん みじかくなる。

 これは一瞬なんのことやら、となるのだけれど、鉛筆の芯を黒い骨とたとえてるんですね。そんな風に見れます? 鉛筆を。良いな~~~と思いました。分析がついてくれているので子供独特の表現もすっと頭に入ってきてなるほどな~となる。

>あんりさんの 目の中に
 あんりさんの 目の中に、ぼくがいる。
 手をふったら、
 目の中の ぼくが 手をふる。
 あんりさんが、
 ぼくに へんじしてるみたい。

>おか田くんの 目の中に わたしがいる
 ちっちゃい ちっちゃい わたしが
 おか田くんの 目の中に いる。
 すこし ちかくで 見ると、
 うしろに、だれかが いる。
 その子も
 ちっちゃい ちっちゃい子になっている。

 これらは先程言った「隣の席の子の目をじっと見つめて、見えたものを詩にする」授業の作品なのですけれど、じいっとじいーーーっと見つめて、だからこそ見えた素直な世界を文章に落とし込んでいる、まさに体現したような詩で、すごーーーく好きなんですよね。この授業の作品は他にもあるんですが、あんまり載せるのも良くない気がする、しかしどれもどれも好きです。この授業の様子も教えていただいたこともあり余計印象的な部分。

 なんかもうね、すごくいい本なんですよ。本当に。
 でもってこの田中さんがものすごくいい人だったんですよ。
 既に教員は引退されているということだったのでそれなりのお年だとは思うのですが、なんかもう、誤解を恐れずに申し上げても良いのなら、近所の優しいおばちゃん先生といいますか、少し古びた住宅街で習字の先生でもやっていそうな穏やかな雰囲気が話せば話すほどに溢れてくるんですね。「子供は天才なんですよ」「本当に良い詩を書くでしょう?」「擬人化が素晴らしいですよね」「こんな発想、なんて素晴らしいんだと思って」「やんちゃな少し困った子でも驚くような良い詩を書くんです」などなど、熱意のこもった優しいトーンで、結構ぐいぐい来られるんですけど、苦にならない。田中さんの子供への愛情や尊敬、ご本人の人柄のなせる空気だったなあ……としみじみ。子供たちの詩も直球だけど田中さんもまた直球で、それが押しつけがましい感じじゃなくて、たった数分のできごとだったけれど、子供たちの詩の良さや、内容に関するエピソードを交わしただけで不思議な意気投合感があって、そこには年齢の差など関係なく、偶然あの場所で、一冊の本を通じて生まれた、まったく別世界を生きてきた人とのコミュニケーションが誕生した瞬間だった。
 ああいうのが、こういう、顔と顔を合わせる即売会の醍醐味の一つなんだろうなあと一つ発見した気持ちだった。
 私はたまたまスペースの前を通りがかって表紙が目にはいるまでこの方について知らなかったし、向こうも当然私のことなど知らないけれど、そんな偶然の出会いってすごいって、単純にすごいなあって。それは、ネットにおいてもそういう部分はあるけれど、face to faceはやはり、お互いの感情が濃密にぶつかる。私はきっと、この文学フリマでなければこの本に出会うことは無かっただろうし、本屋で見かけたとしても手にとっていなかったと思う。この本が手元にあるのは、純粋な本の良さだけではなく、田中さんと会話をしたのが大きい。本に経歴が載っていて輝かしいものだったのですけれどそれも納得。教育方針「認める・ほめる・励ます」座右の銘「継続は力なり」「プラス思考」「笑顔」「Keep dreaming!Keep trying!And Keep on smiling!」がもうすべてを表している。全肯定感がね、もうすごくて。笑顔が素敵な方だったな~~授業風景を見てみたい。
 少し疲れているからこそ、あたたかさに触れたのが心地良かったというのも確かにある。タイミングが良かったんだろうなあ。
 本を買って、分かれる最後に、
「良い出会いをしました」
 と、噛みしめるように、素敵な笑顔で言ってくださったのがすご~~~~~~~~く、心に残った。「私」という人間に言ってくださったのが、伝わって。
 この方の言葉もかなりストレートなのです。だからこそ響いたのかな。
 私の方こそ、良い出会いをして、この出来事だけでも、今年の文フリが素敵な思い出になりました、素敵な本とお話をありがとうございました、と。
 田中さんにはまたお会いしてみたいなあ。
 今思い出しても、すごく幸せになる。
 年齢も経歴も関係無い。筆者の方と話せる即売会の良さを今までで一番実感した日となりました。
 大切な思い出として綴っておきます。

 そんなわけで心の充電満タン、楽しい文フリでした。厳選された戦利品も、読み進めていくよー。出展者の皆様、おつかれさまでした。

0902「もう一度立ち止まる」

 楽しいことがあった後は反動で沈むことが多い人間なんですけど。
 八月はちょっと仕事できついこともあったり、でもそれって自分の嫌な性格の部分が出てしまっているからなこともあって、それが物凄く嫌で、ここ最近余計なことを言ってしまったりすることも多い。
 仕事に関しては、できることが増えてきた分、自分にかかる責任が徐々に大きくなってきていて、かけられるプレッシャーとか、同期との色んな兼ね合いとか、うまくできていない。
 自分の何かしらの良さとか、何かしらあるだろうとは思うのだけれど、「自分のネガティブ面をポジティブに捉えましょう」の逆もまた然り、良いだろうものが裏目に出てすごく悪循環に入ってしまっているような気がして、うわ~すごい嫌な感じだ~というのが自分でめちゃくちゃわかる。めちゃくちゃわかる。比例するようにモチベーションも下がっている。
 嫌だね。じくじくと胃が痛んで。
 日々の辛さとか、悲しさとか、痛みとかに対して、もっと、優しく、あるいは強く、それは特別なものじゃなくていいから、きちんと立っていたい。優しい人間でいたい。

 感性が痛んで焦るばかりでやりたいことが見えなくなって楽しむことを忘れている気がするので、また立ち止まって、整理整頓してみます。
 創作は、しろやみ加筆・修正がキリ編の63話まで終わったけども、その次でまた変な壁に自分で頭からぶつかって血をだらだら流しているので、やっぱりこれも立ち止まります。あんまり長くするつもりはないけど。好きなものを嫌いになりたくないし嫌いなものにしたくもない。インプットする。八月、書写もびっくりするほどやらなかったので、また書こう。
 心を震わすような何かが欲しいな。

 抽象的なことばかり言っているのは、頭の中が散らかっているから。今月で、新年度が始まって半年になる。新鮮な空気をめいっぱい吸って、吐いて、もう一度やり直す、そんな九月にしたい、しよう。そういうわけで、また明日。

0827「いつか死ぬとしても」

 その時がいつ来るかなんてわからない。
 前触れもなくいなくなる人はどんな思いを抱いて眠っていったのだろう。
 さくらももこ先生の訃報があまりにもさみしい。

0821「ライブに当選した話/創作進捗」

 当選しました。
 Peaple in the boxという3ピースバンドがありまして昨年の引き籠もって勉強に打ち込んでいた時期にドハマリしていて、今度東京と梅田のライブハウスで計六回、メンバーそれぞれが二回ずつプロデュースするというなんかよくわからないけどとにかくライブが企画されていまして、その先行抽選がその「つい一昨日」締め切りでして、慌てて応募したらあっさり当選してしまった話。
 好きになった歴史が浅すぎて正直ピープルがどれほどの人気なのかよくわかっていないのだけれど、トーキョーグールのEDを務めたこともあってそれなりの可能性があると思って念のため十月・十二月で応募したらうっかりどちらも当選してしまいびびる。だから多分そこまで競争率は高くなかったんだろうなあ……多分……こんなにわかがそんなに行って大丈夫なのだろうか。
 ライブに行くのもいつ以来? うっかりするとファンモン以来では? というレベルな上に周りに好きな人がいないこともあるし今年いろいろライブ応募している割にまったく当たらないので落選してもしゃーないなテンションでうっかりソロでやったら当たったのでつまりソロで突入するんですが、そのうえライブハウスは更に久しぶり(あれです、マジバケの音楽祭以来だとすれば六年ぶりくらい……?)なので距離の近さとか爆音大丈夫かな!? ピープルの楽曲って明らかにウウウエエエエーーーーイ!!!!とタオルぶん回したり前に押し寄せて跳ねて叫んで盛り上がるタイプじゃないのでどんな雰囲気になるのかけっこう想像つかないんですが、軽くググったところ音はともかくライブ自体はだいぶ大人しめそうな気がします。
 とにもかくにもいくら歴史が浅かろうと好きなバンドだし当選したのはものすごく嬉しいので、とりあえずは十月に備えようかと思います。ライブハウスかーー楽しみだなーーーどきどき。

 創作の進捗。
 思いっきりしろ闇ネタバレを含むので念のため続きから。

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0806「壁に焼き付く影」

 日付を見るたびに薄らときのこ雲が浮かぶような一日だった。平成最後のこの日なんですね。
 感傷的になるわけではないし触れるのが難しいことなのかもしれないけれど。変わらず仕事をしていたけれど。
 何もかも失ったところからもう一度生まれ直したような国に生まれて、今やとても恵まれているのに、どこか常にさみしいのは何故だろう。ちゃんと懸命に生きているのだろうか。
 何度か広島には訪れているけれど、小六の修学旅行で行ったきり原爆資料館には足を運んでいない。気付けば随分と昔の記憶だというのに、廊下を抜けて少し開けた部屋の、右手側にあった(はずの)蝋人形の衝撃というのは色濃く残っていて、ビジュアル面での訴えというのはとても重要だと思っている。多少脳天を叩くくらいのものじゃないと平和呆けした私達には響かない。とはいえあの蝋人形は撤去されたという話で、回避可能ならばできるだけ痛みを避けようと世間が動くほどに、回避すべきではない痛みまで無くなってしまっているような気がする。これに限った話ではないけれど。「見る・見ない」や「やる・やらない」を選択できる自由すら最初から奪うのは時に暴力的。
 とはいえ偉そうに言えるような人間ではまったくなく、明日やってくるいつも通りの日常を信じて疑わないし、毎日を生きることで精一杯だし、それもまたある種幸せなんだろう。
 今日は夕暮れ時に退社して、田圃や低い建物群の上空を、薄い雲が地平と平行に伸びていて、空は柔らかな萱草色をしていた。いつだかのひなげしを彷彿させる色をしていた。美しい空だった。美しい日であってくれて良かったと思った。
 今日もよく頑張りました。明日も生きていきましょう。

0805「くろらなけい」

 地道に地道にやってるんですがアラン達が生き生きしてるトレアスもなかなか良かったんですがリコリスに辿り着いて漸く圭がまともに出てきたのでウワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーとなりました読者兼筆者のうみさん。
 途中でのメインキャラの加入って良いですよね。
 自分で作ったキャラに言うのもなんですが可愛い奴です。
 明るいキャラクターは空気を軽くしてくれて。
 クロは基本的に他人に対してぶっきらぼうで、アランともラナとも喧嘩ばっかりしてるんですが、圭との会話のテンポ感が良くて、リコリスは当時の私がいかに楽しんで書いているかがものすごくよくわかりますね。クロのデレに引くいい時代だな……まだホクシアに行っていないので純粋に楽しいだけです。
 という勢いに任せてめちゃくちゃ久しぶりにうちのこを描いたんですが、一発書きでいろいろとバランスが崩れてるのは許してほしいんですけど、こんだけ仲良くしてる姿なんて本編でも無いキャラ崩壊も辞さぬ願望の塊。

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 リコリス編楽しいぞ!文章も読みやすくなってきました優しい!
 うちのこをこれからもよろしくお願い申し上げます。